ホテルのチェックアウトはカード一枚で終わったのに、その30分後、道を一本入ったところにある食堂で同じカードを出したら店主に首を振られる。スリランカでは、この落差が一日のうちに何度も起きます。
ただ、これは運の問題ではありません。どこで通ってどこで通らないかには、はっきりした傾向があります。
カードが通るかどうかは、店の「客層」で決まる

判断の軸はひとつです。その店が旅行者を客にしているかどうか。
旅行者が来る店には、決済端末を置く理由があります。カードしか持っていない客を逃したくないからです。逆に、地元の人が毎日通うだけの食堂には、その理由がありません。端末の費用も手数料も、日常の少額の売上には重い。だから置かない。それだけの話です。
この見方をしておくと、コロンボの中心部にいるのに現金しか使えない店に当たっても慌てずに済みます。街の大きさではなく、目の前の店が誰を向いているか。そこだけ見ればだいたい当たります。
まず通ると思っていい場所

旅行者向けのホテル、大きめのレストラン、ショッピングモール、空港。このあたりはVisaかMastercardであればまず問題ありません。
ここで大事なのは「通る」ことよりも、通る場所が金額の大きい支払いと重なっているという点です。宿泊費、長距離の送迎、車のチャーター。旅費の中で額が張るものは、たいていカードが使える側にあります。
つまり、財布に入れて持ち歩かなければならない現金は、思っているより少なくて済みます。
航空券、ホテル、送迎、ツアーのように日本にいるうちに払えるものは、出発前に済ませておくとさらに軽くなります。明細も残るので、帰国後に何にいくらかかったかを見返せます。
たぶん通らない場所

一方で、現金しか受け付けない場所もはっきりしています。地元の人が使う食堂、市場、個人商店、流しのトゥクトゥク、ローカルバス。それと、チップや寺院での少額の支払い。
配車アプリのPickMeにカードを登録しておけば移動をキャッシュレスにできる場面もありますが、エリアやドライバーによっては現金を求められます。移動を全部アプリで完結させる前提では組まないほうが無難です。
もうひとつ、見落としやすいのが「カードは使えるが最低利用額がある」店です。コーヒー一杯や軽い昼食では条件に届かず、結局現金を出すことになります。使えるかどうかを聞いて「使える」と言われても、少額なら現金を用意しておいたほうが早い。
支払う前に、その場で当たりをつける

店に入る前、あるいは席に着く前に確認できることがいくつかあります。完璧ではありませんが、外れは少ない目安です。
- 看板やメニューに英語があるか。旅行者を想定していない店は現地語だけのことが多い
- 店内に外国人客がいるか。いれば端末がある可能性は上がる
- 会計がレジか、引き出しや箱か。後者なら現金と考えたほうが早い
- 価格が表示されているか。表示のない店は現金前提のことが多い
それでも判断がつかないときは、注文する前に一言聞いてしまうのが一番確実です。食べ終わってから通らないと分かるより、はるかに気が楽です。
ここまでを場面ごとに並べると、おおよそ次のようになります。同じ業種でも店ごとの差はあるので、傾向として見てください。
| 場面 | カード | 実際にどう動くか |
|---|---|---|
| ホテル・大型レストラン・モール | 通る | 金額が大きいのでカードに寄せる |
| 事前予約(航空券・送迎・ツアー) | 通る | 出発前に払い切ると現地が軽くなる |
| 観光客向けカフェ・土産店 | 店による | 最低利用額を聞いてから決める |
| ローカル食堂・市場・個人商店 | 通らない | 小額紙幣で払う前提にする |
| トゥクトゥク・ローカルバス | 通らない | アプリ登録済みでも現金を持つ |
| チップ・入場料・トイレ | 通らない | 崩した札を切らさない |
都市と地方で変わるのは「線引き」ではなく「回数」

「都市部ならカード、地方なら現金」とよく言われますが、実際はもう少し細かい話です。
コロンボにいても屋台やトゥクトゥクは現金ですし、地方に行ってもホテルの精算はカードで通ります。線引きそのものは、都市でも地方でも変わりません。変わるのは、一日のうちに現金の場面が何回来るかです。
都市に滞在してホテルとレストランを中心に動く日は、現金の出番が数回で済みます。地方を周遊して、食堂で食べ、トゥクトゥクで移動し、寺院に入る日は、その回数が一気に増える。加えて周遊中は、ATMや両替所が次にいつ現れるか読めません。
人数でも変わります。飲み物、軽食、入場料は人数分かかるので、家族や友人同士の旅行では現金の減りが一人旅の感覚より明らかに早くなります。
カード側で、出発前に潰しておくこと

海外での利用設定
カード会社のセキュリティで、海外の決済が止まることがあります。最初の一回で止まると、その場では原因が分かりません。出発前にアプリか公式サイトで海外利用の設定を見ておけば、この面倒はほぼ避けられます。
現地通貨建てか、円建てか
決済端末で通貨を選ばされる場面があります。どちらが得かはそのときの条件次第で、一律には言えません。ただ、自分がどちらを選んだかを分からないまま承認してしまうと、帰国後に明細を見て首をかしげることになります。
手数料やレートの仕組みは、カード単体ではなく両替やATMと並べたほうが理解しやすくなります。踏み込んで比較したい方はこちらへ。
2枚を別の場所に置く
カードが1枚だけだと、端末との相性や一時的な利用停止で詰みます。別ブランド、できれば別会社のものを2枚。そのうえで、同じ財布に入れないことのほうが重要です。メインは財布、予備は宿のセーフティボックスか別のポーチ。財布ごと失っても動ける状態を作っておきます。
では、現金はいくら持つのか

ここまでで、現金が必要になる場面ははっきりしたと思います。移動、ローカルでの食事、チップ。どれも一回の額は小さく、そして何度も来ます。
大枠は、カードを主に使って現金を補助に回す形です。ただし「何割を現金にするか」は旅程の中身で変わりますし、実際に現地でつまずくのは金額そのものより札の崩し方だったりします。その具体は別の記事にまとめました。
まとめ|「使えるか」ではなく「どこが現金か」を先に決める

カードが使えるかどうかを毎回心配していると、支払いのたびに小さな判断が積み重なって疲れます。そうではなく、通る場所と通らない場所をあらかじめ分けてしまう。宿と移動の大物はカード、日々の細かい支払いは現金。この二本立てを先に決めておけば、現地では考えずに手が動きます。
お金の準備は節約のためというより、旅を止めないためのものです。支払い手段が複数ある状態を作っておくこと自体が、そのまま余裕になります。
費用の全体像から押さえておきたい場合は、物価の水準を先に見ておくと予算が立てやすくなります。
旅程が固まってきた方へ
どこへ行き、どう移動するかが決まると、支払い方法もほぼ自動的に決まります。日程や人数がある程度固まっている方は、お問い合わせフォームから現地手配や移動のご相談をどうぞ。まだ行き先を考えている段階でしたら、このまま他の記事もご覧ください。





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